
2018年上半期に軽自動車を除く国内新車販売台数で首位の座を獲得した日産ノートですが、
なんと言っても、ガソリンエンジンを発電に使うという発想が新鮮で、あっという間にコンパクトカーのトップにまで上り詰めました。
これだけ販売台数が増えてくると、ノートで旅行に行ったり、車中泊をしたいと思うユーザーも増えてくるはずです。
今回は、そんなノートの後部座席や荷室のスペースに注目して、最終的に車中泊が可能かどうかを検証を行っていきます。
日産ノートの後部座席のスペースを調査!

出典:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/note/exterior_interior.html
まず、日産ノートの後部座席ですが、基本的にシンプルな造りになっていて、なにか飛び道具のような仕掛けは存在しません。
後席アームレストは、最上位モデルである「メダリスト(MEDALIST)」のグレードのみ装備されるため、通常のグレードではアームレストがありません。
リアシートの収納方法は、いたってコンベンショナルな6:4分割の可倒式となっていますが、「S」グレードのみベンチシートタイプになります。

出典:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/note/exterior_interior.html
もちろん、「メダリスト(MEDALIST)」のグレードを選択すれば、ご覧のようにレザーを使用しているシート生地になって、ぐっと高級感がアップします。
ドリンクホルダー2つ付きのアームレストが標準装備となるので、大人4人で旅行に出た際には重宝しそうです。
普段はあまり気にしませんが、長時間移動をするときにアームレストが有ると無いでは、疲れ度合いに差が出てくるアイテムなのです。
シート座面の奥行きは460mmとなっていて、座面の幅が1,215mmなので、平均的な体格の大人2名までなら、居住性と広さともに十分なレベルとなっています。
頭上空間についても、ライバル車種に大きなアドバンテージがあるわけではありませんが、背が低い系のコンパクトカーなら満足できる空間が確保されています。
1つだけデメリットを挙げるとすると、フロントシート下に足の先を入れることができない点です。
室内空間に限りがある車種の場合、飛行機や新幹線に乗る時と同じように、フロントシート下にどれだけスペースがあるかが快適性を大きく左右します。
ノートのe-POWERでは、駆動用のバッテリーをフロントシート下に収納している関係で、フロントシートの下の部分が盛り上っている構造なのです。
足をシート下に入れようとしても、この盛り上っている部分が邪魔で中に足が入りません。
後部座席の造りや基本的な居住性が悪くないだけに、残念なポイントといえます。
日産ノートの荷室容量を検証!

出典:https://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/560/671/html/NOTE_079.jpg.html
次に、荷室容量を検証していきますが、ノートはハッチバックスタイルであるため、テールゲートを上に開ける形で荷室へアクセスすることになります。
テールゲートを上に開けると、出っ張りの少ないスクエアの開口部が出現するので、荷物の出し入れはしやすそうです。
ただし、リアバンパーの上が倒れるとかなどといった仕掛けはないので、最低地上高という観点ではライバルに対して大きなアドバンテージはありません。
あと、小柄な女性が気にするテールゲートの高さですが、コンパクトカーとしては、平均レベルかそれ以上といったところです。
ただし、軽量化の恩恵かは分かりませんが、テールゲートが軽く作られているので、大きなミニバンのように力を入れないと開け閉めできないなんてことにはなりません。
スペック的な荷室容量は、ガソリンエンジン車とe-POWER車共通で、300リッター(VDA方式)となっています。
具体的な内容物でいくと次のような感じです。
・9インチゴルフバッグ:3個
・スーツケース(815mm×610mm×260mm):2個
・ベビーカー(A型・B型・AB兼用型):1個
なお、ゴルフバックに関しては、後席シートを倒した場合ですので、あくまで参考です。

出典:https://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/560/671/html/NOTE_080.jpg.html
リアシートの収納方法も、特別な仕掛けのない6:4分割の可倒式ですので、3人までの乗車ならば、ある程度まで荷室容量をアップさせることが可能です。
いずれにしても、ライバル車種に対して大きなアドバンテージがあるわけではないため、日常的な使用の最低限のスペースが確保されているだけと認識した方がよさそうです。
ちなみに、e-POWERについては、エアコンなどに使用するサブバッテリーが設置されている関係で、床下に別の収納スペースはありません。
スペアタイヤもありませんが、パンク修理キットがこのラゲッジフロア下に格納されているので、いざという時には修理キットを使用することになります。
最大の問題点としては、リアシートを全て倒した時に大きな段差が残ることです。
これは、ゴルフバッグをはじめ、大きな荷物を水平な状態で載せたい時にはマイナスとなります。
ライバル車種は、リアシートの収納方法をいろいろと工夫しているだけに、残念に感じてしまします。
日産ノートで車中泊は可能か?

出典:https://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/560/671/html/NOTE_083.jpg.html
車中泊ができるかどうかのポイントは、大人が真っ直ぐ寝られるフラットなスペースがあるかどうかにかかってきます。
傾斜がついていると寝づらいですし、段差があると翌日に体が痛くなる原因となります。
通常、ノートでリアシートを全て倒した時には、荷室フロアとの間に大きな段差が生じます。
ただし、この段差は上の写真にあるディーラーオプションのマルチラゲッジボードを設置することで、解決可能です。
マルチラゲッジボードは上段と下段の設定ができ、上段にセットすると、ラゲッジとリアシートがフラットになります。
また、この時にマルチラゲッジボード下を別の収納スペースとして使う事も可能です。

出典:https://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/560/671/html/NOTE_086.jpg.html
上の写真でわかるように、マルチラゲッジボードによって、リアシートとの段差は気にならなくなりましたが、どうしてもリアシートに若干の傾斜が残ってしまい、フルフラットにはなりません。
さらに、決定的な問題として、絶対的な長さが足りていません。
仮に、フロントシートを一番前にセットして、フロントシートとリアシートとの間の隙間を何かで埋めたとしても、大人の男性が真っ直ぐ寝るには長さが足りません。
もちろん、小柄な女性や子供なら何とか寝られる可能性はあります。
長さを稼ぐために、斜めに寝るという方法もありますが、それだと1名様専用の車中泊になります。
もう一つ残念なのは、AC電源(100V)のコンセントやUSB電源ソケットが備わっていない点です。
車中泊をしていると、意外と夜や朝の時間が長くて、何かしら退屈しのぎが必要なものです。
スマホの充電をするにも、AC電源(100V)やUSB電源ソケットが備わっていないと不便です。
確かに、DC12Vのアクセサリーソケットに社外品のコンバーターやUSB充電機器を差し込めば、電源を取ることは可能です。
しかしながら、多くのハイブリッド車が100V電源やUSBソケットを標準装備している中で、e-POWERという発電を行う車であれば、電源供給装置を付けることは技術的に可能なはずです。
100Vは無理でも、最低限USBソケットくらいは付けるべきだと考えます。
日産ノートで車中泊は可能かまとめ
日産ノートは、大人1名までなら、なんとか車中泊ができる車といえます。
ただし、ディーラーオプションのマルチラゲッジボードを設置することが絶対条件になります。
後席スペースは、十分な居住空間が確保されているので、大人4名が移動するには申し分ない仕上がりになっています。
フロントシートの下に足を入れることができませんが、シートの造りがいいだけに、大きな問題にはなりません。
荷室容量に関しては、必要最低限の容量は確保していますが、ライバルと比較すると工夫が足りていません。
同じ日産のセレナなんかは、シートや室内空間で驚くほど多くの仕掛けがあるので、何か応用できないか今後に期待したいところです。